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『回螺』『灰羽連盟』に見る、悲しくも優しい調和に満ちた世界(修正再録)
漫画家でありイラストレーターであり小説家でもある安倍吉俊氏の『回螺』『灰羽連盟』を関連づけた考察・感想・自分語りの文章です(昔はてなダイアリーに書いた文の修正再録。しばらくしたら元記事は削除予定)。
安倍吉俊氏のこういうソリッドでウェットな作品がまた見てみたいが、同人で出している小説のシリーズとかも面白いので続けて欲しい。
『回螺』『灰羽連盟』のネタバレがありますのでお気をつけください。
『回螺』という物語について
まずは『回螺』という物語について語りたい。
“救いはない。”
“これから向かう世界のどこにも救いと呼べるものは何一つ、ない。”
『回螺』の冒頭1ページ目、黒の背景のページにただ一言書かれた文がこれである。
ここまで強烈に、冒頭から読者に“希望”を否定する物語はそうない。
そして、物語はこの言葉の通り、絶望にいろどられて進んでいく。本当に何一つ希望らしい希望など出てこないのだ。
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<p class="hatena-asin-detail-title">
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4862690602/roadcircuit-22/">回螺 (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)</a>
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<ul>
<li>
<span class="hatena-asin-detail-label">作者:</span> 安倍吉俊
</li>
<li>
<span class="hatena-asin-detail-label">出版社/メーカー:</span> ワニマガジン社
</li>
<li>
<span class="hatena-asin-detail-label">発売日:</span> 2008/06/26
</li>
</ul>
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暗黒漫画四部作と銘打たれたこの本は「古街」「樹葬」「廃域」「白雨」という四つの話からなる。
話同士に連続性はない。世界も似ているようで違った世界のように見える。